第8章 なんでもある日のパーティ
「1度に使える魔法力にも限りがあるからな。
もしこんな事で魔法力を無駄遣いした後に、奇襲でも受けてみろ!僕は後悔しても仕切れないぞ…」
デュースは想像した。
マレウスがここを見つけ 攻めて来る。自分が思い存分戦えなくて、もしローズを失いでもしたら…。
そしてその理由が、直前に薔薇を赤く染める事に魔法力を無駄遣いしていたから。なんて。
そんな格好の付かない事があるだろうか。
『デュースは真面目ねぇ…
でも、さっきから “ こんな事 ” とか “ 無駄遣い ” とか言っちゃってるけど大丈夫?』
「!」
デュースは思わず、バッと左右後ろを確認する。
そこにリドルやトレイの姿がない事を確認してから ほっと胸を撫で下ろす。
「…ローズ、その事は…その、僕達だけの秘密にしてくれないか」
なんともバツの悪そうな顔を浮かべて言うデュースを見て、彼女は思わず声を上げて笑ってしまうのだった。
デュースの目の前には、真剣に薔薇と向き合うローズがいる。
彼は自分の作業もそこそこに、彼女のその表情を見つめていた。
そして、昨日の自分を振り返る。
よく考えれば、なんとも大それた事を宣言したものだ。
半ばフロイドに のせられた形とはいえ、自分も彼女の為に真実の愛を探す!と たしかにデュースは言ったのだ。
現時点でそんなビジョン、全く見えない。
こんなにも可愛くて、身分も違い過ぎる彼女が自分を好きになる未来など 現実味がなさ過ぎて想像が出来なかったのだ。
しかし昨夜、トレイは言っていた。身分など関係ない と。
たしかに命が危ぶまれるこの状況では、そんな事を気にしている場合ではないだろう。
「……」
デュースはゴクリと喉を鳴らした。
じゃあ、もしかしたら本当に…努力次第で ローズと両想いになれるかもしれない?この僕が。
『デュース?』
「!!」