第7章 真実の愛を見付ける為に
フロイドの瞳孔が収縮するのを、リドルは確かに見た。
「…ローズ、今の内にボクと外へ」
『で、でも!』
あの状態の3人を、どうしても放っておきたくないローズ。
なかなか動こうとしない彼女を、リドルは半ば強引に外へ連れ出した。
2人が脱出した後の室内は、更に一触即発のムードだ。
互いが、どちらから仕掛けるか間合いを図っている。
「弱いくせにさぁ、そうやって考えてるの…時間の無駄じゃね?」
じれったい空気に耐えられなくなったフロイドの両手には、既に水魔法が発動していた。
そしてその手の中の水はぐんぐん質量を増していき、バレーボールくらいの大きさに到達。
そこまで育ったそれを、フロイドはトレイに投げつけようと両手を大きく振りかぶる。
それを確認するが早いか、トレイも魔法で応戦する。
トレイが召喚した緑の葉は、高速でフロイドへと向かう。
「早い…!」
2人の戦闘を間近で見ていたデュースは、思わずそう言った。
トレイが放った攻撃は、フロイドに見事にヒットした。
刃と化した葉は、フロイドの服をところどころ切り裂き。皮膚をかすった箇所は薄く血が滲んだ。
その衝撃に、思わず彼は集めた水を辺りに散らしてしまった。
「さすがトレイ先輩っ、早いですね!
相手の攻撃が繰り出される前に、自分の攻撃を当てるなんて!」
興奮するデュース。
それに対してトレイは、自らの手中に渦巻いている風を消滅させた。
それは、臨戦体制の解除を意味していた。
「いや、違うな。
…どういうつもりだフロイド?俺の攻撃、わざと食らっただろ」
「…あはは〜、やっぱりバレる?
こうでもしなきゃ、オレの話聞いてくれそうになかったからさぁ」
攻撃を食らい、そのまま地面に胡座をかいていたフロイドは立ち上がった。
「話…?」
デュースとトレイは、2人で顔を見合わせた。そんな彼等にフロイドは続ける。
「話があるんだよね〜。多分君等にとって、良い話だと思うよぉ?
勿論、オレの話…聞くよねぇ?」