第7章 真実の愛を見付ける為に
何が起こったかというと、トレイが部屋を明かりで照らしたその瞬間。
彼等のすぐ目の前に、ぼぅっと誰かの顔が浮かび上がったのだ。
それは勿論、4人以外の人間の顔だった。だからそれを目の当たりにし、飛び上がるほど驚いたのだ。
「だっ、誰だ!!」
リドルは魔法を使い火の玉を精製して、声を張り上げる。
その光により、やっと部屋の中は室内が把握できるほどの光度を保つ。
「ローズ、下がれ!」
デュースの伸ばされた腕の、すぐ後ろに匿われるような格好になるローズ。
『えっ!?誰かいるの?』
彼女は口に手を当てて、目を見開く。
そこにいたのは…。
「アハハっ、うわぁ!って、うわぁって言った。アハハ!おもしろ〜。超うける〜」
腹を抱えて笑い転げる、フロイドだった。
『フロイド!?どうして、』
「キミが、どうしてこの場所にいるんだい?」
ローズが続けようとしていた言葉と同じものを、リドルが告げた。
フロイドと彼女の間に、リドルが割って入る。
トレイはいつの間にか玄関の前に移動して、デュースは窓の前を陣取っていた。
それはフロイドを逃さないための陣形なのは明白。
なんとも言えない重苦しい空気が、狭い室内を満たしていた。
そんな空気を美味しそうに吸い込むが如く、フロイドは大きく深呼吸して。真っ直ぐリドルに向き直った。
「どうしてって…?後をつけたに決まってるでしょ〜?
逃がさないよ?お姫様♪アハっ」
この非常時を、心の底から楽しむようにフロイドは笑ってみせた。
「コイツ…っ、何を楽しんでやがんだ、ローズが大変な目に合ってるってのに!許せねぇ!」
「同感だな。それに…ここを知られた以上、簡単に見逃すわけにはいかない」
トレイとデュースが、臨戦体制を整える。そんな2人を見て、フロイドはゆらりと体を揺らして、言った。
「…はぁ?なんで勝てるつもりに、なってるわけ?」