第7章 真実の愛を見付ける為に
何はともあれ、一行はようやく4人揃って馬車から降りる。
ほとんど歩く必要のない距離に、その家はあった。
『可愛い!あのお家ねリドル!』
「その通りだよ。ふふ、どうやら気に入って頂けたようだ」
藁葺きの屋根に、小さな煙突。そして煉瓦造りの落ち着いた佇まい。
こじんまりとした家だが、ローズは感嘆の声を上げた。
リドルがいつのまにか手配した、可愛らしい住居。
これから自分がここに住めると思うと、彼女の心は踊った。
「ここに来るのは1年ぶりくらいか?俺とリドルがよく隠れ家として使っていたんだ」
トレイが目を細めて、その家を見つめる。
「おぉ!秘密基地ですね!トレイ先輩方の!」
「いや、隠れ家だって…。っていうか、“先輩” が採用されてる」まじか
まさか本当に、先輩呼びされるとは思っていなかったトレイは若干の戸惑いを見せながらも。
どことなく心底嫌がっている様子ではなかった。
リドルに至っては、いつ自分が “リドル先輩” と呼ばれるのかそわそわ。まるでその時を待っているようだった。
「あれ、開いてますよ?鍵…」
「あぁ…。この家はいつでもボクが使えるように、
掃除と、非常食の準備をさせているからね。きっとその時に閉め忘れたんだろう」
「まぁ、この山の中じゃ泥棒も入る事はないだろうし。大丈夫だろ」
キィ、と木が軋む音と共にゆっくりと玄関が開く。
ローズは少しでも早く、この家の中を見たくてウズウズしていた。
彼らの背中ごしに室内を覗く。しかし当然中は真っ暗で、全く中の様子は分からなかった。
「いま楼台に火点けるから、少し待ってくれ」
トレイはポケットの中から、マッチ箱を探り当てる。
慣れた手つきで、マッチ棒に火を灯した。
「「「うわぁぁ!!!」」」
『きゃっ、!な、なに!?』
1番後ろにいたローズだけが、状況を把握出来ずにいた。
しかし、3人の取り乱したような悲鳴につられて。彼女のもつい大きな声を出してしまった。