第7章 真実の愛を見付ける為に
一行を乗せた馬車が、ガタゴト道を行く事約4.5時間。
ローズは不謹慎だと感じながらも、ワクワクとした気持ちが自分の中に芽生えているのに気付いていた。
なにしろこの10年間、ここまで城から遠く離れた事はなかったからだ。
好奇心旺盛な彼女の目は、キラキラと輝き出していた。
そんな様子を見たリドルとデュースは、少しだけ呆れたような表情を浮かべていた。
「…とてもじゃないが、さっき呪いを食らったばかりの人間には見えないな」
「本当にね。能天気の名を欲しいままにしているよ」
2人の言葉に、ローズは申し訳ない気持ちが強くなる。
『そ、そうよね。不謹慎だったわ。ごめんなさい…。
3人に迷惑をかけておいて、浮かれてしまって…』
シュンと項垂れる彼女を見て焦る2人。
「い、いやいやいや!!ずっと落ち込んでるよりは良いと思うぞ!
ねぇ、リドル様!」
「その通りだよ!前向きなのは良い事だし…
あ、ほらそろそろ目的の場所が見えて来たよ」
リドルはそういうと、小窓の外を指差した。
ローズは驚いてそちらを見る。
“ 目的の場所 ” とは、これから彼等が住む家の事である。
彼女が驚いた理由は
その場所が、思っていたよりも凄く城から近かったから。
彼女の見立てが正しければ、ここはまだディアソムニア領内である。
隠れて暮らす。というふうに聞いていたので勿論、国外への移動を覚悟していたのだ。
そしてもっと言うと、ここはマレウスの根城からもそう遠くない場所に位置している。
これもリドルの案だった。
彼は最初、自国へローズを連れ帰り匿う事も考えたのだが。
灯台下暗し。という言葉があるが
今回のこれはまさに、その効果を狙ったものだ。