• テキストサイズ

【爆豪勝己】君のそばで。

第3章 距離


そして思い返してみて、茅野はふと気付く。

(でも、私

勝己に助けられてばっかりで


なにも返せてないなぁ。)

あれは確か
小学校生活にも少しずつ慣れてきた、小1の夏あたり。

いつものように勝己と三人で帰っていた日、上級生と私が思いっきりぶつかって、体格差のせいかよろけて転んでしまった。

無視して笑いながら去っていく上級生二人に、
勝己は走っていって、謝れ、と掴みかかった。

そのまま喧嘩になってしまい、私は止めたものの勝己の怒りは収まらず

結局勝己は上級生二人相手に勝ってしまった。


『一年のくせに!!』
『よっちゃんに言いつけたる!!』

覚えてろ!!なんてお決まりの悪役の台詞を吐いて逃げた小4二人に、

勝己は涙目で鼻をすすりながら
『いちばんすげぇヒーローは、

最後に必ず勝つんだぜ』



強く、言った。


『勝己!!ごめんねっ、私が避けられなくて転んじゃったから…!!そのせいで…!!』

泣きながら飛び付いた茅野を、

抱きしめ返して

『そういうのどんくさいって言うんだぜ

…ヒーローになるなら、直さねぇと』

と笑って頭をぽんぽんしてくれた。

その優しさに、余計に泣きじゃくる私を
呆れた顔をしながら

茅野は悪くない。
だから、俺が勝ったんだ!!正義のヒーローだから!!

なんて言って慰めてくれた。


(…小学1年生のくせに、

なんでこんなに大人びてて



かっこいいんだろう)


茅野は勝己のその優しさと強さを改めて、身近に知ったのだった。
/ 59ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp