第10章 進む
『じゃあ…』
「あぁ。日曜のことはまた連絡するよ」
『うん、わかった…』
(離れるのが名残惜しいなんて、私…)
「…いい忘れてたことがあるんだ。
楓風の事避けて傷付けて…悪い。」
『ううん、いいよ全然!!焦凍は、お父さんのことで気が立ってて、私の事傷付けないようにしてくれたんだよね?…私は、焦凍が優しい人だってこと一番知ってると思うから』
微笑んで見せると、焦凍は一瞬考えるような顔をしたあと耳元に近付いて
「…あと、爆豪に嫉妬してた」
と小声で言った。
『…っえ…嫉妬…!?』
そして耳元から口の方に移動してきて
「お前、この前ここで…」
と言いながら楓風に軽くキスをした。
「キスしてただろ」
『…み、見てたの!?』
恥ずかしさで顔に火が昇る。
「嫉妬で頭がおかしくなりそうだった。
…俺以外のヤツにもう、触られんな」
そう呟くと、今度は食べるようなキスをされる。
『…んぅ…』
「っ、お前、そんな声出すな
…止まんなくなるだろ」
二人の吐息が交ざる距離。
『私、焦凍が…好き』
思わず、無意識に
口から溢れた。
「…俺は今も、ずっと前も、
楓風が大好きだ」
おでこをコツン、と合わせながら
そう言って微笑み合った。
「うふふ、青春ね~!!
ママもお父さんとしたの思い出すわ」
すると突然、楓風の母の声。
楓風は恥ずかしさから固まって動かない。
「焦凍くん、何だか久しぶりね!!
また楓風のお世話してくれてありがとう~!!」
「いや、俺も楓風に助けられたことたくさんあります
こちらこそありがとうございます」
「もう焦凍くんったらこんなイケメンになっちゃって!!今日もびっくりしちゃった!!
早く孫の顔が見てみたいわ」
「俺も楽しみです」
(ん??ちょっと待ってこの人達何言ってるの大丈夫??
ママ、なに普通に孫期待しちゃってるの?
私達まだ高1なりたてですけど…。
ってか待ってそもそもまだ付き合ってもないのに
焦凍も何普通に楽しみですとかって答えてるの??
頭おかしいよ)
気付けば話が終わったようで、
「…楓風、ちゃんと休めよ」
頭をポン、と軽く叩くと家へ帰っていった。