第9章 君のヒーロー
「楓風」
『焦凍!!』
同時に声を掛け合った二人に、誘おうとした人達は潔く諦めて去っていく。
推薦で幼馴染みで二位三位、
そこが組もうとするなら、叶わない、とみんな思ったのだろう。
『よかった、焦凍と組めば絶対に勝てる、策があったの』
「…あぁ。俺も思い付いた」
正直、気まずいのは全くといっていいほど変わっていない。
むしろ悪化している。
…だが、勝つためには今はそんなことはどうでもいい。
というのが、二人とも同じ考えだったのだ。
そして、二人が考えた作戦は全くといっていいほど同じものだった。
欲しいメンバーも即決まり、声をかけると喜んで、とのことだった。
チームは、
轟
成瀬
八百万
飯田
の四人で決定した。
「まず楓風は左翼で風を起こしたり壁を作って、敵を近付けさせない。後全体のバランスを見てサポート
八百万は防御、移動の補助。
飯田は先頭で機動力源もといフィジカルを生かした防御」
すらすらと決めた作戦を説明する焦凍。
すると飯田が
「轟くんは氷、熱で攻撃牽制ということか」
と察して確認をする。
轟は、バツの悪そうな顔をし、観客席の方…エンデヴァーを睨みながら
「いや
戦闘において左は一切使わねぇ」
冷たく、そう言った。
楓風は一瞬、哀しそうな顔をして轟を見つめたが、すぐに視線を元に戻した。
他のチームも決まったようで、いよいよ第二種目が開始される。
『…よし、じゃあ作戦通り…行くよ!!』
楓風の掛け声と共にスタートの合図がかかる。
ほぼ全チームが一斉に、緑谷チーム(100万ポイント)へ駆け出した。
だが
轟チームだけが
その場で周りの様子を観察する。
それが可能なのは
みんなはの目には100万しか映っていないからだった。