第8章 すれちがい
焦凍のことについて何も聞いてこない勝己に、楓風はありがたい気持ちでいっぱいだった。
勝己なりの優しさがたくさん伝わって来る。
静かに食べていると、突然爆豪は口を開いた。
「…日曜、ちゃんと空けてあんだろうな」
そう、この前に言われた遊びのお誘いだ。
『…空けてあるよ
…でも』
(どうしてもそんな気分にはなれないし、こんな私と一緒にいても楽しくないと思うから…)
「何もしねぇとどうせいつもみたいにウジウジ考えだすんだろ
いいから遊ぶぞ、渋谷駅に1時だ
来なかったら家まで押し掛けて爆破してやらぁ…!!」
と、拒否件はない、というように半強制的に決められ、本当に家まで来そうなので結局行くことになってしまった。
だがそれは、元気を出させてあげよう、という勝己なりの優しさだった。
楓風にもそれがきちんと伝わって来た。
『…ありがとうね、勝己』
「…あ"?俺は勝己様様だからな
普段からもっと俺に感謝しろや」
そういった爆豪の顔が少し赤い気がして、『意外と照れ屋だよね、』と素直に口にしてしまって怒られた。
(クソ、不意打ちでそういうことしてくんのわざとかよ…!!心臓、うるせぇ)
と鈍感楓風に今日も振り回される爆豪だった。