第7章 恐怖
楓風は飛ばされて来るなり、すぐに周りの空気を真空にした。
当たりを見回すと、火災ゾーンだということが分かった。
(おお、ちょうどいい!!
火と風でやってみたいことあったんだよね)
と能天気でマイペースな楓風は相変わらずの思考だった。
こんな時でも新技を試そうとする。
敵達はすぐに、苦しくなったのか倒れこんだり、こちらに来ようとする。
自分の周りに壁を作って、入ってこれないようにしてから、
『窒息死したくなかったら質問に答えてね!!』
と無駄に明るい声を出し、敵から情報を聞き出した。
オールマイトを殺す算段、主犯のやつらの個性、そしてここにいる敵はどんな関係で集まっているのか。
全てある程度聞き出すと、
『そっか、ありがとう!!』
と言って真空状態を解いた。
なんとか楓風に攻撃しようとする人、酸素を取り込むのに必死な人もいれば、激しく咳き込む人、すでに倒れてしまっている人もいる。
そんなことはお構いなしに、楓風は間髪入れずに爆風を生み出すと、渦が出来て風の発生した中心に敵達は吸い込まれるように集まる。
そしてそこに火が集まり、渦は炎で包まれた。
熱い、助けてくれ、と声が聞こえてくる。
『よし、成功だ!!
これ応用効きそうだし、いい感じかも…!!
ってかここにいる人達って火に耐性あるハズだよね!!その割には苦しんでない??
私も負けたくないって思ったけど、そのレベルじゃ相手にならなくてがっかりだよ…。
この技は死なない程度のはずだけど…まぁ頑張れ!!』
「…成瀬さん」
楓風は一人であっという間に敵を片付けてしまった。
一緒にいた尾白にも気付かず。
名前を呼ばれて後ろを振り向くと、尾白は恐ろしいものを見た…というような顔をしていた。
楓風は驚いて固まった。
「成瀬さんと一緒でよかった…けど
キャラがますます掴めなくなったよ…」
『いやあの!!つい負けたくないなって思うとなんか煽りスイッチが入っちゃって…。』
恥ずかしくなってうつむく楓風。
「爆豪の時のか…
まぁ成瀬さんが凄い人だってことは分かったよ」
ちょっとそれどういう意味で凄いの…??と恐る恐る聞く楓風と、視線を逸らして「近いところにみんな助けに行こうか」
と逃げる尾白だった。