第5章 負けず嫌いと負けず嫌い
同じくモニターで一部始終を見ていた女子とお茶子が楓風に駆け寄った。
「ごめん私のせいで!!ボロボロなってもうてる…」
「かわいい楓風ちゃんが汚されてしまった…!!」
「大丈夫!?じゃないよね…
傷もいたそ~…もろに直撃してたもん…」
「轟くん激おこだねこりゃ…」
『ははは…
まぁ、事故だししょうがない…!
傷はリカバリーガールが治してくれるさ!!大したことないし!!』
(実はちょっとばかし…いやかなり痛いんだけどね…。それよりも恥ずかしい方が勝ってる……。)
すると男子に囲まれていた爆豪がつかつかと楓風に近付いて来た。
「おい楓風!!」
『は、はい!!』
腕をずるずると引っ張りながら二人きりになるよう連れていく。
「爆豪、楓風ちゃん可愛いからって続きしようとするなよー!!」
「しねぇわクソが!!!」
外に出ると、向き合う形になって目が合った。
「わ、悪かった…」
ととても小さい声でそっぽを向きながらの謝罪。
(すごい気にしてる…。
あの爆豪くんが謝ってくれるなんてこれから一生ないかもね
なんか…かわいい!!)
『ん?聞こえない、いつもみたいにおっきい声でお願いしまぁす』
つい意地悪をすると
「何でもねぇよ!!絶対聞こえてんだろクソが!!」
とキレられてしまった。
『あはは、もういいよ事故だもん。
爆豪くんはそういうの興味なさそーだしね』
「…チッ、さっきまで名前で呼んでただろが」
『…あ、あれはなんかスイッチ入っちゃって…』
「名前で呼べや」
『…うん!!勝己くん!!』
「くんいらねぇ!!」
(あれ、そういえばさっき…)
『勝己…私のこと、やっと名前で呼んでくれたよね』
と笑いかけると、
「…名前ぐらい呼ぶわ!!アホか!!
早くリカバリーガールんとこ行けや!!」
と言い捨てて戻って行ってしまった。
(耳、ちょっと赤い
なんか…可愛いなぁ
早く行けって、心配してくれてるのかな?
言い方下手くそなだけで実は優しいとこあるっぽいし…。)
なんて楓風に思われてしまう勝己だった。
モニターを見ながら、
____爆豪くんはそういうの興味なさそうだしね。
という楓風の言葉に
「…興味くらいあるわ!!」
「おぉ、どした爆豪」
と本人がいない場所で言い返してキレているのだった。