第1章 真夏の旅人
何故か、まったく彼らには話が通じていないようだ。
意味不明なお面をつけてるし、でもここお寺やし、こんなお面を納に来る人も居てるかもしれんな…とも思っていたのだが。
(ていうか、ここがお寺じゃないわけないやん…)
何を意味のわからんことを…自分をバカにでもしているのか?と、キョロキョロとあたりを見渡した。
しかし
『………なに、ここ…どこ……?』
そこは、さきの全く知らない土地の景色へと変化していた。
寺はなく、広い敷地が広がり、森のように多くの木々がその周りを囲んでいる。
奥には何やら石のモニュメントのようなものがあるが、どこを見渡しても、自分の住んでいるアパートは見当たらない。
「お前達!捉えろ!火影様へ引き渡すぞ!」
「はっ!!」
突然、自分を捉えるべくこちらに向かって走り出してくる面の人。
(見た目めっちゃ怪しいし、ヤ○ザか何かの下っ端かな?
あっ!もしかして、顔が割れないように面で顔を隠してるとか?!)
そう一瞬で思考をめぐらせ、悪い奴らに捕まってたまるか!と、足元に落ちていた手頃な木の棒を素早く拾い上げて体制を低く構えた。
大人しくしろよ! と叫びながら拳を振りかぶって飛びかかってくる面の人。
(まだ…もう少し…)
さきは間合いを見極め、ちょうど木の棒の先が相手の拳と交わるか交わらないか位のところで足を踏み込み、棒を振るう。
『はぁぁぁ!!!!』
―――――― バシィィ!!!
さきが降った木の棒は、相手の横腹にヒットした。
「うっっ!!!!」
面の怪しい人物が横腹を抑え、体制を崩したのを横目で確認しつつ、その横をすり足ですり抜けたあと、パッと体制を整え、さきはもう1発頭に棒を振り落とそうと踏み込んだ。
『もらった!!!』