第71章 meow
「これを完成させるためにね」
猫バアは棚の上に置かれていた厚めの本に手を伸ばした。
その本の表紙には、”肉球大全”という文字が。
「これはサスケの坊やが小さい頃に集めていた猫の肉球スタンプ集だよ」
『え?サスケくんの?』
「そう。この武器屋はうちは一族にご贔屓にしてもらってたもんだ。
だからサスケの坊やのことだってこんな小さい頃からよく知ってるよ。
兄のイタチがお使いに来る度にその後ろをついてきてねぇ…」
『そうなんですか…サスケくんが、お兄ちゃんと…』
さきは猫バアに手渡されたそのピンク色の本をパラパラと捲った。
その中には小さいものから大きなものまで本当にたくさんの猫の肉球のスタンプが押されていた。
(こんなにもたくさんの猫が…)
その中でも最も大きな肉球は、ここにいる猫バア、そして第七班の三人の体よりもずっと大きなものだった。
どうやら特別大きな紙にスタンプを押したようだが、その実物が本に挟まれていたわけでは無く、その任務の際に記念で取ったのであろう新しい一枚の写真が代わりにそれを物語っていた。
この世界には、喋る犬に喋る猫、里を襲うほどの化け狐を含む尾獣というものまでいるのだから、人間の体よりも多少大きな猫がいたってさきはもう驚かない。
逆に、どんな猫なんだろう?
種類は?毛の長さは?その子も喋るのかしらなんて彼女の興味を誘うばかりである。