第70章 予選終幕
『そういえば、ナルトくんとサクラちゃんは?』
「ナルトは早速修業をしたいと相変わらず元気なもんだよ…
サクラは、怪我した下忍たちを酷く心配している。サスケは勿論だけど、中でもガイのとこのリーくんがね…」
カカシはさきに、先程まで行われていた我愛羅との戦いの一部始終を話した。
息を飲み、眉間に縦皺を寄せて聞いていたさきは、再び視線を落として、そう とだけ呟き沈黙した。
「ま、それがリーくんの覚悟と、ガイの気持ちってことだ…」
『そういうことよね…きっと私たちも同じ立場になると、止めらないよ…』
「だろうな…それにさっきオレも知った事なんだけど、本戦のサスケの相手がその我愛羅くんだよ」
さきは目を瞠ってこちらに顔を向けた。
カカシには、さきの言いたいことが分かっていた。
カカシは笑顔を彼女に向け、頭をポンと一撫でした。
「だいじょーぶ!
サスケの力はお前もよく知ってるでしょ。
今は体を休める事が最優先だが、この1ヶ月アイツが何もしないわけがない。
オレたちだって先を見据えて、色んなことを教えてやらなきゃな。」
『…うん。それに、私たち自身もね』
「そういうこと。ちゃんとわかってるじゃないの」
頭に置いたままの手で、わしゃわしゃと髪を撫でると、さきは満足そうに目を瞑った。
――ーさきも本戦までの1ヶ月で急成長を遂げた張本人だ。
己との戦いになることが間違いない短い時間の中で、教え子に対して、オレやさきに出来ることは何なのか。
そして、大蛇丸の問題を前にしてオレたち自身がしなければならないことは何なのか。
「全てが試される1ヶ月だ」
『そうやね…しっかりしなきゃ』
予選終了とともに、新たな試練がさきとカカシのすぐ目の前に広がっていた。