第70章 予選終幕
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ヒナタについてきてから、もう随分時間が経った。
そろそろ予選も全て終わった頃だろうか。
ヒナタは先程よりも落ち着いた様子で、寝息を立てて眠っている。
これ以上ここにいても、彼女の顔を眺めるだけで自分は何の力にもなれないだろう。
さきは静かに立ち上がり、病室から長い廊下に出た。
(…そういえば)
『あの、うちはサスケくんって、どの病室にいますか?』
さきは手の空いていそうな看護師に声をかけた。
「ああ…すみません。先程はたけカカシさんから、誰も入れるなと言われてまして…
今は暗部の護衛がついてます。なのでお見舞いならまた後日…」
『あ、いえ…彼は私の班員でもあるんです。
暗部の方が一緒でも構わないので、少しだけでも様子を見に行かせてください』
看護師は少しの間押し黙り、捻り出すようにして、少しだけですよ、と承諾した。
案内してくれたのは、ヒナタがいる病棟とは全く違う場所。
途中で犬のような面を付けた暗部の先導に従ってその病室までやってきた。