第69章 予選開幕-5-
しかし、それは違った。
リーが痛みに目を瞑り、ガイが祈るために目を閉じたあの時…そのほんの一瞬で我愛羅は砂の鎧から抜け出し、鎧を変わり身としていたのだ。
リーの背後から大量の砂が押し寄せる。
蓮華という技は、足や体に多大な負担がかかる高速体術だ。
いくらリーが優秀だからと言っても、まだほんの14歳。
大人であるガイのように体が出来上がっている訳では無い。
身体中が痛み、動けるような状態でないリーはもろにその攻撃を全身に受けるが、何とか体制を整えようと試みた。
彼の師であるガイは、その姿を笑って見ていた。
再び独特の構えを取ったリーもまた、「自分はまだやれる」と言わんばかりの凛々しい表情を見せている。
(なんだ…?)
ほんのつい先程までのリーからは、全く想像できない体力の回復を見せていたことに、カカシは疑問を感じていた。
「今度はこちらが追い込む……」
「え?」
ガイの言葉の意図が分からないサクラは思わず聞き返した。
「木の葉の蓮華は、二度咲く!!」
「?!」
カカシは思わず耳を疑った。
聞き間違いでなければ、それはある種の禁術だ。
「まさかガイ…お前!」
裏蓮華を…あの子に教えたのか?!
そのカカシの心の問に、無言で頷き、ガイは肯定の意思を表した。
裏蓮華の習得…すなわち、リーは八門遁甲の体内門を開けることができるということだ。
「……あの子にはその才能があった」
「いくら才能があったとしても…そんな危険な技を…!裏蓮華だけは…教えちゃならん技でしょうが!」