第1章 真夏の旅人
(たまには、お寺お参りして行こうかな。お隣さんやし。)
さきは、階段を1段ずつ登り、境内へと入る。
そしてその気になった御神木の目の前へと足を進めた。
『やっぱりきのせいかな。木だけに…ふふ、つまんな!』
誰も笑いもしない親父ギャグを1発かまし、へへへ と一人で笑いながら、健太も言ってたな…こんな馬鹿なこと…と、愛する夫のことを想いつつ御神木に そっと手を触れた。
―――――― その時。
ぶわぁぁぁっっ!!!
まるで台風の大嵐の中を丸腰で進んでいるかのように、強く重たい風がさきを包んだ。
『なっ!!なに?!?!やだ…っ!』