第69章 予選開幕-5-
『ヒナタっ!可哀想に…しっかりして!』
ヒナタについて行ったさきはその後の試合を自分の目で見たという訳では無いので、ここからはかなり掻い摘んでの話にはなるのだが…ヒナタが緊急治療室に入り、心臓へ電気ショックを送り緊急の処置を行っていた頃…―――
試合会場では、砂隠れの我愛羅とガイの愛弟子リーが試合を行っていた。
リーは得意の体術で拳や脚を振るうものの、我愛羅が背負っていたひょうたんの中に入っていた砂の完璧な防御に指一本も触れることが出来ずにいた。
リーは忍術や幻術を使うことが出来ない。
そのため、体術で攻撃するしかないのだが、如何せん我愛羅の砂との相性が悪い。
と、なれば勝ち目なんて殆どないかと思われたが…
「リー!外せー!!」
それは両足のアームカバー内に装着していた何十キロ…いやそれでは効かないかもしれない程の重りを外せというガイからの合図。
ドゴ!ドゴッ!!
という有り得ない音と、その重りが落ちた場所に入ったヒビは…思わずカカシもマスクの上から口を抑えてしまうほどだったらしい。
それから、元々スピードの速いリーは枷が外れたことにより更にスピードを得、我愛羅に数発の攻撃を加えることに成功した。
肉眼で追うのが精一杯な程の速さに砂のガードも追いつかない。
このまま試合が進んでいくかと思われた。
しかし…
ピシ…ピシィ…という陶器などが割れる音とともに、我愛羅の体に無数のヒビが走る。
彼は、体中に砂の鎧を纏っていたのだ。