第68章 予選開幕-4-
しかしキバも直ぐに冷静を取り戻した。
次は赤丸とのコンビネーション技では無く、手裏剣を使っての攻撃を考えているようだ。
「じゃぁ…オレのとっておきの新必殺技でケリつけてやるってばよ!!」
ナルトはそう言い両手を組み、チャクラを練り上げ始めた。
(し、新必殺技?)
いつの間にそんなものを習得していたのか。
驚いたさきは、自分の両サイドに立つ二人にチラと視線をやる。
しかし、カカシは何言ってるんだ?と間抜けな表情だし、サクラも口を開けてポカンとしている。
(2人とも知らないなんて、一体どんな…)
彼の言う新必殺技とやらに期待が膨らみ、ほんの少し胸が踊る。
そして大量の手裏剣がナルトに向かって投げ込まれた。
ひとつひとつの動きを見極め、ナルトは体をフルに使って全て避け切る。
その隙にキバは四脚の術を使った。
「うオオオ!!」
「遅い!」
キバは見事にナルトの後ろを取る。
アレでは絶対に避けられない。
遂に決着が着いてしまったか?!と思わず息を飲んだ。
――――― プウ~~~
『…っへ?』
「ウギャーーーーーー!!」
何とも間抜けな大きな空気音が聞こえたあと、キバは攻撃の手を止め、鼻を押さえて体を大きく仰け反らせた。
「速い動きと良くきく鼻…擬獣忍法がアダになったな……」
『ま、まって?今の…お、おならよね?』
「だな。」
『狙ってしたの?!?!…アレが必殺技……!?』
「いや、まさか…あの屁は偶然でしょ。さすが意外性No.1の忍者だけあるわ…」
キバは鼻を押えたままフラフラと体をふらつかせている。
「ナルトー!今がチャーンス!」
サクラのその声援にハッとしたナルトは、素早くチャクラを練り始めた。
「影分身の術!!」
五体の実体の分身が、ボボン!とリズムよく作り出される。
「今までやられた分一気に返すぜェー!!」
そして一気に五人がキバに向かって走り出した。