第68章 予選開幕-4-
「オ…レは……火影に……こんな…ところ…で…」
「お前が火影?このオレより弱いのにかァ?!
お前、本心じゃ火影になれるなんて思ってもねーくせに強がってんじゃねー!!
クク…火影ならな…オレがなってやるよ!!」
キバは息絶え絶えに立ち上がろうとするナルトのことを只管バカにし続けていた。
彼はきっと…ナルトにだけは負けたくないのだろう。
「立てー!ナルトー!!」
サクラがナルトに誰よりも大きな声援を送る。
それに応えるように、ナルトはゆっくりと立ち上がった。
その瞳は、自分を信じる気持ち…自信に満ち溢れ、力強い熱意でギラギラと光っていた。
「オレと火影の名を取り合ったら…お前ェ負け犬になンぞ!!」
その言葉に触発されたキバは再び、赤丸と共に牙通牙を仕掛けた。
ナルトは必死にそれを見切り、避け続けるしか術がない。
だが、何度も繰り返し避け切れるほど甘い技でもなく、肩で息をするナルトに比べて、キバはまだまだスタミナが残っていそうだった。
(厄介なのは、二人の息のぴったり合ったコンビネーション…それさえ崩せれば、ナルトくんはきっと勝てる!)
『あの技を攻略するには、どっちがキバくんなのか見極める方法を考えないとね』
「そうみたいだな」
さきとカカシの分析が始まった。
その間も繰り返し攻撃を仕掛けるキバ。
そこでナルトがとった行動は…
「変化!!」
ナルトはキバの姿に変化した。
もくもくと漂う砂埃が晴れ、三人が対峙した時、全員の動きが止まった。
キバに扮することで、キバまたは赤丸は、どちらがナルトなのかを判断出来なければ迂闊に攻撃することは出来ない。
一方ナルトは、どちらも敵である以上おかまいなく攻撃が可能だ。
(なるほど、考えたね。)
『でもキバくんには…』
人の何十倍、何百倍…いやそれ以上の嗅覚がある。
その点についての作戦は何かあるのだろうか。