第68章 予選開幕-4-
「のぼせんじゃねーってばよ!!おいキバ!!子犬なんかここに連れてくんな!試合の邪魔だってばよ!!」
「バカヤロー!赤丸も一緒にやんだよ!」
「ワンワン!」
犬塚家は代々、小さな頃から自分のパートナーのように犬を飼い、犬と共に生活し、戦い、任務も一緒にこなす一族だ。
ナルトに怒鳴られている今も頭の上から離れようとしないかわいらしい見た目のキバの愛犬も、この試合を共に戦って何の問題もない。
「ナルトー!ンな奴に負けんじゃないわよー!!」
今度はナルトに代わって、サクラの声援が響く。
落ちこぼれ、ドベ、忍としての才能の無い子なんて認識されている“里の嫌われ者”のナルト…果たして彼は本当にそうだろうか。
いや…
さきの脳裏には、この数か月のうちに驚くほど成長した小さな少年の泥まみれの姿と、いつも前向きで明るい光の宿った彼の眼差しが思い返された。
『見返してやれっ!ナルトくん!』
そしてさきもまた、サクラに負けない声量で声援を送った。
「では…始めてください!」
ハヤテの合図で、今試合の火蓋が切って落とされた。