第68章 予選開幕-4-
さきはシカマルとナルトの仲がとても良いことを知っていた。
さきが班に加わる以前にも、今日はシカマルと何をして遊んだだとか、そういう話をナルトから聞いていたからだ。
シカマルと言えば、木の葉随一の頭脳派の忍である奈良シカクの息子。
さきとはなかなか接点がなかったものの、いったいどんな子なのだろうと少し興味を持っていた。
カカシの素顔を見るんだとはしゃいでいた時だって、彼は自分の秘伝忍術をうまく使っていたから…。
――――― その試合はとてもスムーズに運ばれた。
相手は鈴の付いた千本と糸を操る忍。
シカマルはその攻撃のカラクリを早々に見破ったが、千本をまともに食らってしまった。
しかし、そこで終わりではなかった。
彼はその糸を逆に利用したのだ。
細い糸に影が出来たと思い込ませ、自分の影を細く細く操って、影真似の術に持ち込んだのだ。
相手の戦法を見破ったと同時に、敵と自分そして周囲の状況を正確に把握していたシカマルは、キン・ツチの頭を後方の壁に思い切りぶつけることに成功。
戦闘不能により破れた彼女は、医療班によって運ばれた。
カカシやほかの上忍師も、鮮やかという表現が合うその戦い方に思わず唸り、さきも自分には決して真似などできない術の使い方やタイミング、何より面倒臭そうな雰囲気を醸し出す彼からは想像もつかない冷静な判断力にひどく感心した。
―――程なくして、次の試合の対戦相手が表示された。
【ウズマキ・ナルト vs イヌヅカ・キバ】
「来たァ!来たァ!よっしゃー!!お待たせしましたァ!やっとオレの出番だってばよォ!!!」
ようやく回ってきた自分の出番に、ナルトは拳を固く握って高く掲げ、ウラーーー!!とやる気満々な、一際大きな雄叫びを上げた。
対するキバは、ラッキーだと、まるで勝利を確信したように無邪気な笑顔で喜んでいる。
場内へ降りる二人。両者互いに笑顔だ。
どうもキバはナルトは自分より格下だと思っているらしい。
忍犬の赤丸も、彼の服から顔を出し、余裕綽々にワン!と嬉しそうに吠えていた。