第67章 予選開幕-3-
「木の葉旋風!!」
強烈な蹴技が放たれた。
しかし、本気の攻撃だったにも関わらず、テマリはリーの蹴りをいとも簡単に受け止めた。
(っ凄い…!)
テマリの余裕めいた動きに、さきは感動した。
が、そんな場合ではない。
(…じゃなくて!そんなことよりみんな喧嘩っ早くない?若いから?止めなくちゃ…!)
「やめろリー!もういいだろう…」
さきらが行動をするよりも前に、ガイが漸く仲裁に入った。
「…砂の諸君…一言忠告しておきたいんだがいいかな」
首を傾げるテマリ。
その目の前で悔しそうに拳を震わせ、怒りを我慢しているリーの方に手を乗せたガイは、自慢げに、そして少し挑発的に一言だけ忠告をした。
「この子は強いよ…覚悟しといたほうがいい」
その時、さきの背後からは、明るく元気そうなサクラの声が聞こえてきた。
「あんな奴等に負けんじゃないわよ、ナルト!」
声色だけではなく、どうやら顔色もすっかりよくなっており、別段これといった外傷などもなさそうだった。
『サクラちゃん!目が覚めたんやね』
「うん!もう平気!」
「サクラちゃん…!もう大丈夫なのか?」
心配するナルトにも、サクラは笑顔で答えた。
先程の全力を出し切った勝負で、何か吹っ切れたのだろうか。
その表情はイキイキ、晴れ晴れとしていた。
「そんなことよりアンタ、自分の心配しなよ!こんなとこで負けたら男がすたる!後でサスケくんに合わす顔ないわよ!」
「オ…オウ!!」
「…でも、さっきはアリガト…アンタのバカみたいな声援が無かったら…私…いのにあっさりと負けてたかも」
「うん!そだね」
『もう…せっかくお礼されてるんやから…そこはフォローしなさいよ…』
隣で二人のやりとりを聞いていたさきも思わず呆れてしまうような返事。
まったくナルトらしい受け答えだ。
その場が落ち着きを取り戻してからも、ナルトもリーも、早く自分の番が回ってこないかと、ソワソワした様子を隠しきれずにいた。
二人の視線の先にある電光掲示板に、第六回戦の対戦者の名が表示された。
《ナラ・シカマル VS キン・ツチ》
ガックリうなだれるリーと、舌打ちをするナルト。
…二人の出番はもう少し後のようだ。