第67章 予選開幕-3-
試合終了が告げられて間もなく、カカシとアスマは手摺を越えて試合場に降りた。
カカシはサクラを、アスマはいのを両腕に抱きかかえるなりすぐに引き返し、二人を観覧席の後方の壁にもたれかかるようにして降ろした。
ナルトとリー、そしていののチームメイトであるシカマルとチョウジが二人の安否を心配して駆け寄ってきた。
「オイ…いの!!」
「サクラちゃん、大丈夫かー-っ!?」
皆口々になかなかの声量で声をかける。
「しーー…」
カカシは人差し指を立て、静かにするよう彼らに促した。
その傍らで、さきも腰を屈めて二人の様子を確認したが、かなりの長期戦だったため、多くのチャクラを消耗し、二人は疲れ果てて気を失っているだけのようだった。
額当てが吹き飛ぶほどの力だ…きっとさっきの殴られた衝撃で脳が揺れて、それが倒れるきっかけになったのだろう。
二人ともとっくに限界を超えていたに違いない。
でも、前の試合の負傷者と比べても明らかに軽症で、医療班に治療をしてもらうほどの大きな怪我も見受けられなかった。
『大丈夫。二人とも全力を出し切って疲れ切っちゃったのかな。…きっとそのうち目を覚ますよ』
さきがそう言うと、みんなホッとした表情を浮かべ、カカシの言う通り大人しく静かになった。
「しかし…驚いたな…」
「ああ…ナルトとサスケはともかく…あの頼りなかったサクラまでが…こんなに成長してるとは…」
カカシは眠ったままのサクラを見つめてボソリボソリと口にした。
「いろいろあったけど…この中忍試験に出して良かったと……心から思ってるよ」
(まったく、今更何を言ってんだか。)
二人の会話のやりとりに、さきはクスリと笑った。
『チームワークの大切さを教えたのはカカシでしょ?
三人の絆が深まってる分、みんな揃って強くなってるに決まってるよ。ね?』
サスケのピンチを救ったのも、サクラのピンチを救ったのも、この子達(チームの皆)の声だ。
「なるほどな」
「ああ…そうだな」