第67章 予選開幕-3-
二人は殆ど同時に前へと駆け出す。
先に仕掛けたのはサクラだ。
素早く印を結び、自らの分身を作り出した。
「アカデミーの卒業試験じゃないのよ―――そんな教科書忍法で私を倒せると思ってんのー!」
いのは分身を真剣に見極める。
サクラはチャクラを一気に練り上げ足元へ集中させて走った。
すると、サクラの移動速度は、先程の倍ほどになり…
―――――ガッ!!
「キャ!!」
いのの頬を捉えたサクラの拳は、彼女を大きく吹き飛ばした。
基本的な戦術ではあるけれど、チャクラコントロールが得意なサクラにとっては、いたずらに属性を持つ忍術を使うよりもよっぽど威力があり、なにより真っ直ぐな彼女に向いている。
「さっすがサクラちゃんだってばよ!スゲー!スゲー!」
「チャクラを使った基本動作はルーキーじゃピカイチだな…
サクラの奴、充実してるよ」
『ほんまに凄いね。この短期間でこんなにも伸びてるなんて』
顔に一発入れられたいのの目の色が変わった。
そしてゆっくりと立ち上がる。
「全身の隅々までチャクラを巡らし、それをタイミング良く使う技術…アレだけならサスケよりも上だよ。」
「さきの姉ちゃんよりも?」
「ひょっとするとな。ま!サクラの場合、初めからチャクラのコントロールだけは…抜群に上手かったからなぁ…」
カカシがここまで誰かを褒めるのも珍しい。
ガイの隣で試合を見守るリーも、サクラの動きに釘付けになっていた。