第67章 予選開幕-3-
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さきが会場へ戻ると、既に試合は大詰め。
今、まさにシノとザクの戦いの決着が着くところだった。
―――ザクの腕が落とされている。
詳細は分かりかねるが、油女一族秘伝の奇壊蟲の術が炸裂したということは一目瞭然だった。
「あ!姉ちゃん遅せぇってばよ!もうシノの試合終わったぞ!」
『ごめんごめん、ついでにサスケくんの様子見に行ってたんよ』
「そうなの?!大丈夫?!サスケくんはっ」
『大丈夫、心配しないで。今もカカシが付いてくれてるし。二人の試合までには、ちゃんとカカシもここに来ると思う』
先程までの出来事を、さきはニコリと笑顔で隠した。
「二人ともオレらの試合に間に合わねーんじゃねぇかってヒヤヒヤしたってばよ…姉ちゃんたちには、オレの良いトコ、ちゃーんと見てもらわねぇとな!!」
「いよっしゃー!」と先程よりも元気よく声を発するナルトは、シノの試合を見て更に気合い十分だ。
同じ観覧席から教え子を見下ろす紅も、ホッとため息をついている所だった。
(よかったね、紅。)
と、その時。
ナルトの背後に忍ぶ影……噂をすればなんとやらか、サスケを病室へ運んだカカシが帰ってきた。
「よっ!」
「カカシ先生!」
「よっ じゃないわよ!カカシ先生、サスケくんは?サスケくんは大丈夫なの?!」
サクラは息継ぎする間もなくサスケくんの安否を問いただす。
一方のカカシは、こちらまで気の抜けるような緩い表情で答えた。
「ま、大丈夫だ。今病室でぐっすりだ」
それを聞いてやっと安心出来たのか、サクラは胸に手を置き、ホッと大きなため息を着いた。
どこかこわばっていた表情も、だんだんと柔らかさを取り戻していた。
次の試合が電光掲示板に映し出される。
次は、木の葉のツルギ・ミスミと砂のカンクロウだ。