第66章 予選開幕-2-
そう言い、ジリジリと一歩ずつ歩みを進める大蛇丸。
その不敵な笑みからは最悪な結末ばかり連想させられ、カカシは次第にバクバクと心臓が暴れだすのを感じていた。
サスケに手を出させるわけには行かない…!
「サスケにこれ以上近づくな…」
カカシは腰を落とし、低めに構えて雷切を発動させた。
「いくらあんたがあの三忍の一人でも……今のオレなら、アンタと刺し違えることくらいは出来るぞ…!」
カカシは暗部時代、大蛇丸を目の前にし、殺るには絶好のチャンスだったにもかかわらず、殺気にあてられ全く手も足も出ないまま取り逃したことがある。
―――その時から何も変わっていないわけが無い。
いや、変わってなければならんだろう。
カカシは一層、強く睨みを利かせた。
「くくっ…アハハハハ」
張り詰めるような空気を裂くかのように、大蛇丸は突然高らかな笑いを響かせた。
「何がおかしい…」
「すること言うこと―――全てズレてるわね」
「何?!」
「そんな封印してみてもまるで意味ないわ」
―――どういうことだ?!
(サスケに施した封邪法印は完璧な筈だ……まさかこの呪印には、封印式を無効にするほどの何かがあるというのか?!)
カカシはより一層眉間に深く皺を刻んで大蛇丸を睨み上げた。
「分かるでしょ……目的のため……“どんな邪悪な力であろうと求める”心…彼はその資質の持ち主…復讐者なのよね」
(やはりコイツは、サスケがうちはイタチに復讐しようとしていることを知っているのか)
「そこにつけこんだのか…だがサスケは」
「お前が思っているようにはならない」と言いかけた、その時。