第65章 予選開幕
先に動いたのはヨロイだった。
3枚の手裏剣をサスケに向かって投げる。
それとほぼ同じタイミングでホルダーからクナイを取り出したサスケは体を大きく使い、思い切り振りかぶって、手裏剣を跳ね返した。
「ぐっ!」
突然、唸り声をあげて倒れこむサスケ。
呪印が悪さをするのだろう。
相手の攻撃を生かした防御に、優位に試合を進めているようにも見えたのだが、その一瞬で状況が逆転した。
横たわるサスケの頭上から、力強いこぶしが振り下ろされる。
あまりの衝撃に、会場の床石が砕け、破片があたりにとび散った。
間一髪、攻撃を避けたサスケはとっさに地面にクナイを突き立て、今度は反撃に出た。
また、一瞬で形勢逆転だ。
サスケの腕十字がしっかりとキまる。
ヨロイの肩関節からゴキリと耳障りな音が聞こえた。
「やった!!」
ナルトがガッツポーズで喜ぶ。
しかし、何かがおかしい。
手首を掴んだサスケの手は、意志とは反して徐々に緩んできていたのだ。
ヨロイはサスケに寝技を決められた瞬間に、クルりと手首を反転させ、サスケの首元をグッと掴んでいた。
おかしい。なぜだ。
すぐにそう感じたサスケは両手で、首元を掴むヨロイのその手を引き剥がそうと試みた。
しかしその後すぐまるで一気に脱力したように、パッとその手を離してしまい、顎に一発拳をまともに食らった。