第65章 予選開幕
早速、第一回戦の二人の名が電光掲示板に表示された。
《ウチハサスケvsアカドウヨロイ》
(サスケくんがトップバッターか…)
これも、なるべく早く手を打つための火影様の計らいなのだろうか。
相手は同じく木の葉の里の忍。
あの薬師カブトと同じチームだった人だ。
呪印の痛みが引かないのか、サスケの顔は時たま歪む。
睨み合ったままの二人を残し、他の忍は全員上の観覧席への移動が指示された。
さきは直ぐにサスケのそばに駆け寄った。
『サスケくん…無茶だけはしたらアカンよ。わかってるよね?』
「…ああ」
本当にわかってるのか、少しの間を置いて答えたサスケに軽くため息を吐く。
そんなさきのすぐ後ろから、カカシが近づいてきた。
試合前に何度も何度もしつこく言うとサスケの機嫌を損ねかねない。
引き際も大切だと思ったさきは、うん、とひとつ頷いて右肩にポンと手を置き、あとはカカシに託して、ナルトとサクラを連れて上に上がった。
「サスケ…写輪眼は使うな」
カカシの一言に、サスケがピクリと反応する。
本人的にはきっとうまく隠せているつもりだったのだろう。
「………知ってたのか」
「さきも知ってるよ。」
「………」
「…その首の呪印が暴走すれば…お前の命に関わる。まー…その時は試合中止…オレやさきがお前を止めに入るからよろしく」
さきが上からサスケを見降ろした時には、もう既にカカシはこちらへ足を進めていた。
…分かってくれたのだろうか。
写輪眼はおろか、忍術でさえそう簡単に使えない試合。
かなり難しい戦いにはなるだろう…でも。
『頑張れ…サスケくん…』
緊張感の漂う空間に、ハヤテの声が響いた。
「それでは…始めてください!」