第58章 好き
早く会いたいし、長く会いたい。
そう思ったからここに来たんだ。
何せ数日ぶりやし。
会えなくても…それはそれで別によかった。
ただ、それだけのこと。
それなのに…
「……ふっ」
カカシはそんなさきを見て、吹き出すように笑った。
(あぁもう、せっかく正直な気持ちを言ったのに!)
さきの顔は、恥ずかしさで薄っすらと赤みを帯びていた。
これを昇ってきた太陽のせいにするには、些か無理があるタイミングだろう。
『も、もう…なに?!』
「ふふ…いやいや、嬉しくてね。」
マスクの下の口元まで、容易に想像出来てしまうその大好きな笑顔に、キュウッとさきの胸が締まってゆく。
―――――― あぁ好きだな…
やっぱり私、
カカシが好き。
あんな夢を見ても。
別の人がずっと胸の中にいても。
それでもし、カカシを傷つけてしまっていても…
この人を好きな気持ちに、嘘はない。
ぽんぽんと優しく頭を撫でる大きな手。
優しくて低い、甘い声。
緩い曲線を描く目元。
「そんなにはやく会いたかった?」
『……そーよ』
好きだよ…カカシ。