第57章 mythology
さきはその後、村の子供たちと外で遊んだ。
村に咲く、可愛らしいユウガギクの花を繋げて首飾りや華冠を作ったり。
キキョウやゲラニウムの花でブーケを作ったり。
他にも色んな花を集めてカラフルなコサージュにしたり…
―――――― とても懐かしかった。
「へぇ…さきさんってこういうの得意なんですね」
話しかけたのはこの任務に同行していた上忍の男だ。
彼も無邪気な子供たちによって色とりどりの花が色んな所にくっ付けられている。
『好きなんですよ、こういうの。 昔教えて貰ったことがあって』
「あーそうだったんですか。器用ですね~」
さきがハンドメイドを始めたきっかけは、"あの人"から教わった花だった。
元々何かを作るのが好きだったさきに、花を使った小物の作り方を教えてくれたのだ。
そこからアクセサリーや他の小物を作るようになった。
「オジサンにも教えてやるよ!」
「なっ?!オジサンじゃねーよ!!」
「オージーサン!オージーサン!」
子供たちはふざけて手をたたき始めた。
「お前らそんな風に大人をいじってっとロクな人間にならねーからな!」
「それってオジサンみたいな~?」
「ほんとクソガキだなあお前~」
『あははははっ…そんな本気で怒らなくても…!はははっ…』
ムキになって言い返す彼の表情があまりにもひどくて、さきは吹き出すように笑った。
「いや、笑いすぎですからねさきさん!!」
―――――― あぁ… ほんまに、懐かしいな。