第55章 異例発表
『でも、今日はちょっとヒヤヒヤした。 イルカ先生やガイにあんな強気なこと言うんやもん…』
それは今日の昼間の言い合いのことだ。
あそこまで言うなんて、カカシにしては珍しい。
やっぱりプライド高いんだな~と、さきはふふっと笑った。
「そういうお前だって話に入ってきてたじゃない。
草は放っといても成長するけど、踏まれた草はその中でも特別強くデカくなる…それにちょうどいいタイミングでしょ。」
『ふふ そうやね。』
パラパラパラ…と、指先でイチャイチャナントカの本を弄ぶカカシはなんだか少しいじけている様に見えた。
(間違ったことなんて言ってないのに、なにソレ。ちょっと可愛いんですけど。)
さきはプフッと小さく吹き出した。
『ねぇ…大丈夫だって。カカシは伊達に場数踏んでないでしょ? 私は三人のことも信じてるけど、カカシのことも信じてるんだよー?』
これがカカシ流の教育、ということだ。
それにいくら担当上忍が推薦したって、それ自体に強制力はない。
受験するかどうかは彼らの意思次第なのだから。
カカシ自身も、彼らの行動を通して自分の判断を見ようとしていることは、さきにもわかっていた。
『カカシのことはさ、ちゃんと私が分かってるよ』
クスクスと笑ってカカシを見ると、少し不満そうな顔をする彼と目が合って、それも何だか笑えた。