• テキストサイズ

【NARUTO】繋ぐ場所【カカシ】

第54章 悪夢(ゆめ)


 さきは額から手を外し、ゆっくりと自分の隣に視線を移した。
 心配そうな顔をこちらに向ける、とても大切なカカシが、そこにはいた。



『…もう……大丈夫…ごめん』



 朝になると、カカシだけじゃない。皆もいる。

 のうのうと生きているなと叱っているのか?
 もっと、苦しみながら生きるべきだと。



『~~っ……』

 さきは熱い涙が涙腺に勢いよく押し寄せて来るのを感じた。

(―――――― いけないの?…やっぱり…)

 あなたがいない私が、幸せになっては。



「…さき、苦しいなら話せ」

 カカシが何かを察し、優しくさきに声を掛ける。

 返事の言葉に、詰まった。
 いったい何を話せばよいのか、まったくわからなかった。



 暫くの沈黙が流れ、さきは、やっとの事で声を絞り出した。



『……花…に……水を……』

 カカシは驚きもせず、何故かとも問わず、背を擦っていたのと反対の手で、さきの手を包み込んだ。

「…あぁ。…おいで、一緒に行こう」

 カカシはさきの手を引いて、優しくベッドから連れ出した。



 こんな真夜中に、花に水をやる必要なんてない。

 それでも、その行動の意味を、カカシは知っている。



 私は無言で、ちょろちょろと右手にもつジョウロで水をやりはじめた。
 震える左手を、カカシは、ぎゅうっと強く握ってくれていた。


/ 641ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp