第54章 悪夢(ゆめ)
数日後、私は夢を見た――――――
――――――誰かが話しかけている。
暗闇の中から、ずっと…遠くの方から声が聞こえる。
『だれ……?』
私は掠れた小さな声で、姿の見えない声の主に尋ねた。
“…して……る…”
“お前を……”
―――――― 暗い、くらい、闇の中。
―――――― 誰かの声がこだまする。
『誰?』
今度は、はっきりと声を張って問いかける。
“さき…… ”
(―――――― 誰かが、私を呼んでるんだ…)
自分の名を呼ぶ、謎の声。
いったいどこから…?と、振り返ったそこには
―――――― 血に塗れて横たわる
空っぽの あの遺体。
『いやぁぁぁあぁぁあーーーーーーっっっ!!!!』