第47章 空白の時間
五人が話し合っていたところへ、ふと、小さな少年が部屋に上がってきた。
見た感じの年齢からして、ひょっとしてこの子がタズナさんの言ってたお孫さんかな?とさきは直感した。
思ったとおり彼はタズナさんの孫であり、名をイナリというまだほんの小さな少年だ。
彼はタズナさんの傍へと歩み寄り、ジトッとした軽蔑的な目でこちら側を見つめた。
そして、「母ちゃん、こいつら死ぬよ…ヒーローなんてバッカみたい! そんなのいるわけねぇじゃん!! 死にたくなかったら早く帰った方がいいよ」と吐き捨てるように言葉を遺し、さきたちが碌に挨拶をする間もなく、サッサと自分の部屋へと戻ってしまった。
(何か訳ありなのかな…あの子?)
さきは彼の消えていった扉の方をじっと見つめた。
間もなくして、火影というスーパーヒーローになる!と自信たっぷりに宣言したのに、馬鹿みたいだと年下の男の子に言われ、それに腹を立てていたナルトが、イナリをどやすためにドタドタと追いかけていった。
カカシはそれを止めようともしたが、体も動かず、またナルトが聞く耳も持たないであろうことを察してまた大きなため息を吐いた。
「はぁ……ま、アイツは置いといて、それから…」
『まだ何かあるの?』
カカシはじぃ~っとさきの顔を見つめた。
『…ん?』