第46章 敵現る
―――――― 確かに私は、それを見ていた と思う。
ナルトの額当てを踏み、彼を挑発する再不斬。
それでも立ち向かってゆき、額当てを自分の手で取り返す勇敢なナルト。
サスケと協力して影分身、変化、影手裏剣の術を駆使し、再不斬の後ろから攻撃する二人の姿を、確か見ていた。
全て、見ていた ハズだった。
_______________ だが、気が付くと
「さき……もう大丈夫だ。 オレも皆も無事だから、しっかりしろ……」
どうしてか、彼女の耳元で聞こえたのは、優しく諭すようなカカシの低い声だった。
『はぁ…っはぁ…っはぁ……え……?カカシ…?』
ぼんやりとした視界が定まり、彼女の瞳に映ったのは紛れもないその声の主。
カカシはさきに対面し、肩でふーふーと息をする彼女の両腕をグッと力強く抑えていた。
さきの左手には抜刀された蛍丸。
右手には数発分の何かの彩火玉。
そして、なぜか先ほどまで立っていた場所からは随分と離れた水上に立っていた。