第46章 敵現る
突如、再不斬が三人が組んだ陣の中に現れる。
カカシはそれを見切っており、彼の胸にクナイを突き刺し、同時に子供達をドン!と器用に押し出した。
さきはタズナさんを後ろへドン!と強く押し出す。
再不斬の胸には、カカシの刺したクナイが立っていた。
しかし、その傷口からバシャッと体が水に変わり、カカシの後ろから再び再不斬が襲いかかる。
カカシが刺していたのは再不斬の水分身だった。
…が、カカシは既に水分身の術をコピーしていた。
水分身の自分を斬らせることで、背後からの攻撃を交わし、本体の再不斬の裏に回る…ほんの一瞬の出来事だった。
「動くな…終わりだ」
術に術を仕掛けられ、カカシに完全に背後を取られた再不斬。
それは決定的かと思われた。
しかし、そのカカシの後ろに現れた再不斬こそ本物の再不斬だった。
―――――― ドコォ!!!
裏の裏を取った再不斬に、カカシは音を立てて勢いよく蹴り飛ばされる。
様子を見守っていたさきは、写輪眼を使用しているカカシがこんなものではないことも、考えがあって攻撃を受け、湖の方へわざと蹴とばされたことも理解していた。
(カカシはこんなもんじゃない。 一旦水の中に逃げ込んで策を立て直す気………)
否。
安心していたさきもまた抜けていた。
彼女が再不斬の性質と策に気付いた時には既に遅かった。
(相手は水遁を自在に操れる……!!)
『っカカシ!!!そっちはアカンよ!!!』
さきが注意を促す前に、カカシも既にその過ちに気付いていた。
しかし、それでは遅かった。
「水牢の術!!」
ゴゥッという音と同時に、カカシが大きな水の塊の中に閉じ込められる。
それは再不斬の右手が離れない限り解けることが無い、息のできない逃げ場のない水の牢。
さきは大きく目を見開いた。
そこから動くことができないカカシ。
直ぐに逃げるよう指示を出すカカシ。
分身の再不斬に蹴り飛ばされるナルト。
彼女にはそれらがゆっくりゆっくりと見えていた。
そして――――――― 彼女の中で何かが爆ぜた。