第46章 敵現る
全員、咄嗟のカカシの指示に従い、さきも素早くその場に低く屈む。
一番体の大きなタズナさんも、何とか"それ"から回避することはできたようだ。
突然襲ってきた"それ"とは、大きな包丁のような大刀…
木の幹に刺さったその柄の上には、こちら側を肩越しに見据える体格の良い男の姿があった。
『あの人……確か……』
さきはどこかで見覚えのある顔を、自分の頭の中をめぐる記憶の中の情報と順番に照らし合わせていく。
そして、それはあまり宜しくない場所で合致した。
「へー……こりゃこりゃ霧隠れの抜け忍、桃地再不斬くんじゃないですか」
目の前に現れた大男は“鬼人 再不斬”。
サイレントキリング(無音殺人術)の達人と呼ばれる男だ。
カカシやさきの携帯する、中忍以上の忍に渡されるビンゴブックにも掲載されている超危険人物である。
彼は、霧隠れの里の卒業試験という名目で行われていた生徒同士の殺し合いで、まだ忍者の資格も得ていないにも関わらず、なんの躊躇もなく100名以上の死人を出したとされ、霧隠れの実力者・霧の忍刀七人衆の一人だった、所謂――――――――― 最悪の男。