第42章 突破
そう言いながら、ハハと笑うカカシのことをよく見ると、少しだけ彼の白銀の髪が伸びていることに気がついた。
とにかく、力をつけるのに必死だったこの一ヵ月。
怒涛のように過ぎ去った日々はさきにとっては一瞬のようにも思えていたが、そのカカシの伸びた髪の毛に、とても長い時間の流れを感じた。
さきはムクッと起き上がり、カカシの髪をふわりと触る。
相変わらず太くて硬めの髪。
『髪、伸びたね』
「お前も少し長くなった」
互いが知らない一ヵ月がそこにはあった。
しかしそれでも、やっぱり今の彼女は今目の前にいる彼で出来ていた。
『またカカシが私を強くしてくれた。 ありがとう。』
「礼を言われる覚えはないよ。」
一ヵ月ぶりのカカシの作った食事は、さきの胃袋をたんまりと満たし、暖かい風呂は爪先から頭までじんわりと包み込むように気持ち良く、共に潜り込んだ布団は全ての疲れを癒してくれるようだった。
そしてそのまま、さきは27時間もの間、眠っていた。
後にカカシから聞いた話だが、珍しく寝相も良かったらしい。