第36章 手合わせ
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「なかなかやるな…」
『はぁ…はぁっ…最近相手してもらえてない時間も、しっかり修行してたからねっ…!』
互いに互いの鈴を狙うというルールで始めたこの鈴取り合戦。
もうそろそろ取れるかと思いきや、なかなか取れないという状況がずっと続いていた。
「まだまだ続きそうね~…あの二人、決定打となる攻撃が全くないし」
「……元々あの二人は、組んで戦うことが多いと聞いた。 だからこそお互いの癖や攻防が読めてしまう…」
「ふーーん。 でもやっぱさき姉ちゃんのが体力ねェのかなー? カカシ先生の方がまだまだ動けるって感じするってばよ…」
子供たちの分析通り、二人は動作の予想が立て易いがために、想像以上の苦戦を強いられていた。
カカシはまだまだスタミナもチャクラも残っていたが、さきはカカシのようにそれらを多く持ち合わせていない。
恐らく次の攻防で決まらなければ、さきの体力不足が原因でカカシの勝利が確定する…そんな状況だ。
「次で最後にするか…もうそろそろ疲れたろ?」
『ん…次で、絶対に獲る!』
二人の間には辛うじて声が聞き取れる程の距離があった。
その間を、ヒュウと吹き抜ける爽やかな風に煽られて、二つの揺れる銀色の鈴音がリィン…と美しく鳴り響く。
ヒラリと飛んできた一枚の木の葉。
ゆらりゆらりとゆれながら、地面へ向かって落ちてくる。
そして、 木の葉が地面に着いた瞬間…!