第1章 真夏の旅人
カカシは先程まで持っていた警戒心というよりは、好奇心や興味を持ってさきの話に耳を傾け、観察した。
淡々と簡単なプロフィールを話す彼女は、どうやら自分と同い歳で、血液型が同じようだ。
ピンクブラウンの髪は肩より短く、クセというわけではなく、巻いていることがわかる。
化粧も年頃の女性の通り綺麗に施されていて、少し華奢ではあるが、まあ普通といった体格。
身長は、160センチあたりか。
ほのかに香る石鹸と花のような香りは、香水か何かだろうか。
おまけに、家族はいない、ときた。
『他に聞きたいことは?』
「んーそうだね。 まずその喋り方は、さきさんの住んでたとこの方言なの?」
『あ…関西弁のことかな?』
「関西弁、って言うのね。 それから、なんであの時、木の棒で暗部に一撃決めれたのか教えてくれる? 動きがとても素人とは思えなかったんだけど。」
そう、あの時の彼女は、獲物を捉えたような目で相手を睨みつけ、確実に間合いを取ってしっかりと横腹に狙いを定め、決めたのだ。
頭を狙った時も同じく、隙と無駄のない見事な動きだった。
『あぁ、あの時……あれは…多分18歳までやってた剣道のおかげかな? 6歳からずっと習ってたんです。』
へらっと笑いながらさきは答えた。
『一応、インターハイ…あ、私の国の、同じ年頃の女の子たちの中で1番を決定する大会では、2位でした。』
「へぇ…どうりでいい動きをしてたわけね」
その笑顔につられてカカシも思わず微笑む。