第1章 真夏の旅人
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「…と言うわけで、たまたま慰霊碑の周辺でいましたので、強いチャクラと怒鳴り合う声の元に駆け寄ったところ、この女性が。」
白銀の髪をもつその男は、木ノ葉隠れの里長の部屋、所謂火影室で、これまでの経緯報告を淡々と行っていた。
いつものように任務をこなし、慰霊碑へ行こうと、現場のすぐ近くを通ったところ、何やら騒がしい音とチャクラを感じ、謎の女性…さきを捉えたというわけだ。
「ほう…して、その者は他里の忍なのか?」
「現時点では分かりかねます。 しかし、危険な武器ではなかったものの、暗部の胴にしっかりと一撃入れてましたし、オレが止めなければ、頭にも。 それに、どこの装束か不明ですが、この辺りでは見かけない身なりをしています。 話し方にも、少し訛りがあったように思います。」
「ふむ…じゃが、今はどうじゃ。チャクラは人並み程度、1発の手刀でこのように眠り込んでしまう程、戦いには慣れていないようにも思える。」
火影がそう口にした時、ピクっとさきの細い肩が動いた。
ん…と小さな声を漏らし、どうやら気がついたようだ。
『ここ…は…』
「ほう、気がついたか?」