第2章 胡蝶蘭~すべてのはじまり~
天幕の中から2人の女が現れたのを見ると信長は
「遅い」
「...仕方ないじゃん、着れないもん」
「りっちゃんのおかげで着れたけど...」
「「りっちゃん.....?」」
「...あの女か」
突然現れた女ふたりに秀吉や光秀は警戒するが、光秀は呑気な女だとしか思えなかった。
「お前らが救ったのか?...そんな華奢な体で」
「りっちゃんがえーと、そこの男の人助けてた!」
「うん!りっちゃんすごい!」
「「はぁ??」」
「あの女はまだなのか?」
「私達が出る時に手当終わってたから着替えてると思う!」
信長に対して相当な言葉遣いに秀吉は更に眉に皺を寄せていた。
「...御館様、傷を負った者はそのりっちゃんとかいう奴のことでしょうか?」
「あぁ。名乗りもせんかったが、あやつの名前はなんだ」
「りっちゃんは六花って名前だよ」
「うん!可愛いよね!」
的はずれな事まで言い始める始末。その事に六花は気づくはずもなく、淡々とここで話が始まっていた。
「...そこまで傷が深かったのか?」
「そのようですね...家康様に見てもらえれば幸いかと」
「...いえやす、さま?」
「はい。家康様は医療に詳しい御方で...」
「三成。良い。それで貴様らはどこの者だ」
「どこの者...あの、聞いてもいいですか、今何年ですか?」
「は?...天正十年だが?」