第5章 ❀貴方とならどんな事でも
「「……。」」
そこに書いてある文字を見て私と師範は絶句した。
「えっと、師範……」
「ふざけるな誰がするかそんな事……」
師範は青筋を浮かべながら再び日輪刀で扉を思い切り叩く。
ガン!ガン!ガキィン!!
最後の音は師範が扉を斬った音だが、どういう訳か見た目は木の扉の様に見えるが金属のごとく硬いらしい。
「し、師範……大人しく従った方が出られるのでは……?」
「ダメだ。俺は諦めない。そもそもそんな事をして赤子ができたら鬼殺はどうするのだ。」
「で、でも……」
ここから出られなければそもそも鬼殺とか言ってる場合ではないのでは?
私は小芭内さんとの間に子供ができてもいい。むしろ欲しい。けど、小芭内さんはそうじゃないんだ……。
その瞬間、突然師範を桃色の煙が取り囲んだ。
「毒!?何処から!?師範大丈夫ですか!?」
「っ、ぐ……」
師範は慌てて口元を抑えたがどうやら吸ってしまった様だ。
「っ、は……はぁっ、はぁっ……」
「小芭内さん!」
ガクッとしゃがみ込んだ小芭内さんに、慌てて背中に手を添えると
「触るな!」
パシンと手を払われた。
ズキンと心が痛む。
「……ご、ごめんなさい……」
私が、閨事をしましょうなんて言ったから……性に淫らな汚らわしい女だと思われたのかもしれない。
ジワっと涙が浮かんでしまう。