第4章 ふわふわの綿菓子のよう
「ごめんね炭治郎くん、善逸くん、伊之助くん。小芭内さんこんな人だけど、根は優しくていい人なんだよ。嫌いにならないであげて」
私より随分背の高い三人を見上げながら困ったようにそう言うと、炭治郎くんがニッコリと笑う。
「俺、伊黒さんが優しい人って分かってますよ。鼻がいいので!」
「ありがとう……」
「おい、見つめ合うな。さっさと行け」
小芭内さんにグイッと引っ張られて、ボスンと小芭内さんの胸に顔が当たる。そのまま抱きしめられて身動きが取れない。
「はい!それじゃあ、さようならさん!」
「馴れ馴れしく下の名前を呼ぶな俺が殺してやろうか?」
「ヒィィィ!!もういいから早く行こう!?
炭治郎ぉぉ!!」
「っしゃー!行くぜぇぇ!」
「バイバイ」って言いたかったけれど、小芭内さんのせいでそれも叶わず。炭治郎くん達の姿が見えなくなったであろう時にやっと解放された。
「もう!小芭内さん!」
「邪魔者はいなくなった。
……甘味処にでも行くか?」
「まったく……しょうがないですね小芭内さんは。はい、行きましょうか」
もう一度手を繋ぎ直して、二人でいつもの甘味処へと向かった。