第1章 甘い?甘くない?……やっぱり、甘い
待ち合わせの場所らしき所まで来た時、
「伊黒さーん!ちゃーん!」
と可愛らしい鈴の音のような声が聞こえた。
「すまないな甘露寺。待たせてしまったか?」
「そんな事ないですよ伊黒さん。今来たところだもの。」
蜜璃ちゃんは淡い桃色の着物で、髪の色も相まってとても可愛らしかった。
「ちゃんとても可愛らしいわ!その薄紫の着物、とても似合ってる!キュンとしちゃう」
蜜璃ちゃんに手を握られながら褒められると、少し照れくさい。それに可愛らしいなんて、それこそ可愛いの権化みたいな蜜璃ちゃんに言われると余計に嬉しい。
「ありがとう蜜璃ちゃん。実はこれ、見立ててくれたの師範なの。」
「伊黒さんが!?素晴らしいわ伊黒さん!ちゃんの似合う色、柄、ちゃんと分かってる!流石伊黒さんね!もうキュンキュンしちゃうわ〜」
女子トークなるものに花を咲かせていると、師範がさすがに往来のある所で長話は良くないと言って、甘味処へと移動した。