第1章 甘い?甘くない?……やっぱり、甘い
「どうせ甘露寺と会うなら甘味処へ行くことになる。お前も着いてくるといい。甘露寺が喜ぶ。……それと、今日のとろろ昆布汁も美味い。」
「は、はい。ありがとうございます。師範がそう仰るのなら私もご一緒させて下さい。」
恋柱の甘露寺蜜璃は同期で同じ歳だ。
蜜璃ちゃんの師範は炎柱の煉獄杏寿郎様。
私と一緒に鬼殺隊に入って、蜜璃ちゃんはもう柱になっていると言うのに、私はまだ乙に留まっていた。
正直、師範には申し訳ないと思っている。
次の蛇柱にと育てられたと言うのに甲にすらなれていない。
それでもいいと師範が言ってくれたから、私は今も伊黒屋敷に住まわせてもらっている。
「どうした?箸が止まっているぞ」
師範はもう食事を終えて再び口元に包帯を巻いておられた。
「いえ、なんでもありません。」
師範は何だかんだ優しい人だ。私はあまりネチネチと嫌味を言われたことはないけれど、他の人が言われているのを聞いたことがある。
でもそれも、的を得ているし師範の優しさなのだ。
柱として日々忙しくされている師範に、私の事で余計な心配をさせたくない。私はふわりと微笑んでから、食事を終わらせた。