第2章 失いたくないあなただから
それから一刻半ほど経っただろうか。
しのぶちゃんも診察室に戻って、する事もないのでベッドで横になっていた。
その時突然、
「!!」
バァァン!!と激しく病室の扉が開き、師範が慌てた様子で入ってきた。
いや、もう物凄くびっくりして心の臓止まるかと思った。
「し、師範!?なんでここに……遠征任務は?」
「大丈夫なのか!どこの部位を損失したんだね!?」
「ちょ、ちょっと落ち着いてください師範!」
「落ち着けるものか!お前が鬼にやられて負傷したと鴉から伝言が…!!
…………………………元気そうだな?」
師範は私をやっと見てくれた。
師範がようやく落ち着きを取り戻した頃、
しのぶちゃんが慌てて病室に入ってくる。
「さん何事ですか!?
大丈夫で……あら、伊黒さん?」
「ああ、済まないね胡蝶。取り乱してしまった」
「……全くです。病室の扉は静かに開けてください。ホントにもう……」
しのぶちゃんには後で私からも謝っておこう。うちの師範が大変失礼いたしました……と。