第2章 失いたくないあなただから
「はい、これでいいですよ」
しのぶちゃんがテキパキと治療してくれて、
「ごめんね」と言うと優しく微笑んでくれた。
なんとも情けない。
鬼を倒した瞬間、足を滑らせて捻挫など。
「さんはおドジさんですよねぇ」
クスクスとしのぶちゃんに笑われて、私の頬は真っ赤に染る。面目ないです……。
隠の方に背負ってもらって帰ってきたのだが、こんな調子だから甲(きのえ)になれないんですよね。本当に師範には申し訳ない。
「とりあえず今日は泊まって行かれますか?
ああ、でも伊黒さんが来ますか……」
「師範は遠征任務だから来ないよ。このまま泊まらせてもらって、明日屋敷に戻るね。明日は師範帰ってくるって言伝(ことづて)があったから。」
「……さんって、伊黒さんとお付き合いされてるんですよね?」
ん?突然何の話だろうか。
と頭に疑問符がふわんと浮かぶが、
すぐにかき消してコクンと頷く。
「うん。不思議な事に両想いで……。師範って、私を下心で継子にしたんだって。道理で私弱いわけだよ……」
「さんは弱くないですよ。おドジさんなだけで。」
フォローになってないですけどねそれ!