第1章 甘い?甘くない?……やっぱり、甘い
「えっと、師範。失礼ですが……」
「先程から失礼な事を口走っているのに今更断る必要は無い。何だ、話せ。」
「あ、はいすみません……。」
えーん、ネチネチ師範になってしまった。
「あのですね、師範はその……確かに思い返せば私の料理を褒めてくださったり、遠征帰りに贈り物をしてくださっていましたが、それはその……蜜璃ちゃんにも同じ事をなさっておいででしたので、私はてっきり蜜璃ちゃんのついでだと思っておりました。」
師範は顎に指を当てて考え込んでから、
「ああ、」と呟いた。ああ、じゃないんだな。
ああ、じゃ。
「それに、噂で師範が恋柱にご執心だと聞いたものですから余計に……。それにその、蜜璃ちゃんとは文通をしてらっしゃいますし……!」
「文通、お前もしたいのか?」
「はい?」
なんで私が師範と文通をしたいという話になるのだ。いいから黙って人の話を聞け。
……って言いたいけどそんな失礼なことはもちろん言えるわけもないので、咳払いを1つ。